音楽や動画などを再生するときに使われる『mp3』や『mp4』について、明確な違いを知っていますか?

あれって、どちらも音楽や動画のファイルよね。
いったい、何が違うのかな?
『mp4』の方が新しい形式のような気がするけどな。


今回は、『mp3』と『mp4』の違いについて調べ、その音質に差があるのか解説します。
『mp3』と『mp4』2つの拡張子の違い
まずは、『mp3』と『mp4』それぞれの拡張子の意味について調べてみましょう。
『mp3』とは?
音響データを圧縮する技術の1つであり、それから作られる音声ファイルフォーマット
のことです。
MPEG-1/2 Audio Layer-3の略称であり、動画フォーマット用のMPEG-1の中の音声部分の規格にあたります。
簡単に言えば、
人間の耳の特性を利用して目立たない音を間引くことで音楽データを圧縮したファイルの拡張子
が『mp3』となります。
mp3の詳細については、以下の記事で解説しています。
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wavとmp3の違いをわかりやすく解説!音質の劣化はわからない?
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『mp4』とは?
動画や音声を圧縮する技術の1つであり、それから作られる動画・音声ファイルフォーマット
のことです。
MPEG-4 Part14(正式にはISO/IEC 14496-14:2003)
という名称の規格として標準化され、動画や音楽の保存に利用されています。
『mp3』と『mp4』の主要な違いは次のようになります。
『mp3』と『mp4』の違い
mp3 | mp4 | |
フォーマット | 音声用ファイルフォーマット | 動画用ファイルフォーマット |
定義 | MPEG-1 Audio Layer 3 | MPEG-4 Part 14 |
リリース時期 | 1994年 | 2002年 |
最も大きな違いは、
『mp3』が音声のみに対応した規格なのに対して、『mp4』は動画までを対象としている点です。
実は、『mp3』もMPEG-1という動画用のフォーマットの中の音声部分に関する規格を表します。
音楽用に、MPEG-1の一部の規格だけが利用されていることになりますね。
また、
リリース時期は、MPEG-1の規格の一部である『mp3』のほうが古い
ということが分かります。

MPEG-4の方が新しい技術だから、当然、『mp4』の方が音質は優れているということになるのかな?

『mp3』と『mp4』の音質の違いは?

イヤホン
では、『mp3』と『mp4』では音質に違いはあるのでしょうか?
実は、話はそんなに単純ではありません。
まず、MPEG-4は、
『それまでに定義されたファイル・フォーマットであるMPEG-1やMPEG-2などにも対応している』
という特徴があります。
つまり、
今まで定義されたフォーマットを使って動画や音声を変換することができる
わけです。
音声部分について、MPEG-4が対応しているフォーマットは次のようになります。
MPEG-4が対応している音声フォーマット
- AAC
- HE-AAC
- MP3
- MP2
- MP1
- MPEG-4 ALS
- TwinVQ
これが全てではなく、他にも対応しているフォーマットがあります。
中でも『AAC』や『HE-AAC』は、
『mp3』に比べ、同程度のビットレートに対しては音質がよい
とされています。
また、『MPEG-4 ALS』は、
劣化のない変換
を行うことができます。
『mp3』は、音を間引くことで高い圧縮率を実現することができます。
間引き処理は、人間の耳には分かりにくい部分に対して行われますが、ビットレートが低くなると、人間の耳にもわかるくらいに音質は低下します。
それに対して『MPEG-4 ALS』の場合は音質の劣化は発生しません。
なので、音質をキープしたままファイル保存することができることになりますね。
『TwinVQ』は、低ビットレートでの音質改善を目標に作られたフォーマットで、
低ビットレートでは『MP3』より音質がよい
という特徴があります。
『mp4』形式で音声をファイル保存する時、どの変換方法を使うかは自由に選択することができます。
動画や音声を『mp4』に変換する時、たいていのアプリでは、オプションで音声の形式を選べることを知っているでしょうか?
そのときに『mp3』を選択していれば、『mp4』形式で保存したとしても、『mp3』形式で変換した場合と、全く同じ音質になることを意味します。
もし、音質を重視して『mp4』で保存したい場合は、『mp3』より音質がよいとされている『AAC』や『HE-AAC』、また劣化のない『MPEG-4 ALS』を選択しなければなりません。

『mp4』で保存しても、中身は『mp3』と同じにできるなんて知らなかったわ。
だから、動画や音声のファイル作成の操作はあんなに複雑なんだね。

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まとめ
今回の違いのポイントについて、まとめていきましょう。
ポイント
- 『mp3』とは、音響データを圧縮する技術の1つであり、それから作られる音声ファイルフォーマットのことである。
- 『mp4』とは、動画や音声を圧縮する技術の1つであり、それから作られる動画・音声ファイルフォーマットのことである。
- 『mp4』では、音声用のフォーマットとして複数の規格から選ぶことが可能で、その中に『mp3』のフォーマットも含まれる。
- 『mp4』を使って『mp3』よりも音質のよい形式で保存したい場合は、『AAC』『HE-AAC』『MPEG-4 ALS』をフォーマットに選択しなければならない。
適切なビットレートで変換していれば、『mp3』と『mp4』で音質の違いに気づくことはほとんどないでしょう。
音質にこだわるあまり、様々なフォーマットを使うと、プレーヤーが対応していないなど問題が発生する場合があります。
フォーマットを決めたら、なるべくひとつに統一して使うことをおすすめします。