『小麦粉』は、ほとんどの家庭で常備してある食材の1つでしょう。
パンやピザなどを焼く時はもちろん、ムニエルや唐揚げ、餃子の皮などでも使いますよね。
他にも、お好み焼きやたこ焼きなど、本当にいろいろな料理で使います。
この小麦粉には種類があります。
主に
- 強力粉
- 薄力粉
- 中力粉
の3つ。
お店に買いに行って、
「これってどう違うの?どの小麦粉を買えばいいんだろう?」
って迷ったことは、ありませんか?
筆者も、あります。
でも、小麦粉の違いや向いている料理がわかっていれば、迷わずに済みます。
ということで今回は小麦粉の
強力粉、薄力粉、中力粉の違い
についてお話しします。
小麦粉の保存方法についてもお伝えするので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
強力粉と薄力粉と中力粉、何が違う?

この小麦粉で、何作ろう?
そもそも小麦粉とは
最初に、『小麦粉』って何なのか、ということをお話ししましょう。
小麦粉とは、小麦を挽いて粉にしたものです。
…って、そのまんまですね(笑)
でも、『粉にする』ということが重要で、小麦は、粉にして水を加えて練ると、
独特の粘り気や弾力
が出るのです。
この粘り気や弾力を利用して、パンやケーキ、麺類なども作ることができます。
粘り気や弾力が出るのは、小麦のタンパク質に含まれる『グルテン』という成分の性質によるものです。
グルテンのタイプや量によって、どのくらいの粘りや弾力が出るかが変わります。
その違いで粉を分別したのが、
『薄力粉』『中力粉』『強力粉』という粉の種類
なのです。
ちなみに、小麦の栄養成分の割合としては、グルテンを含むタンパク質は、そう多くありません。
最も多いのは、炭水化物で、70~80%。
その他の成分として、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラル類などを含んでいます。
強力粉、薄力粉、中力粉の違い一覧
ここから、強力粉、薄力粉、中力粉の違いについてお話しします。
まず、一覧でざっと見てみましょう。
強力粉 | 薄力粉 | 中力粉 | |
原料 | 硬質小麦 | 軟質小麦 | 中間質小麦と軟質小麦 |
タンパク質の割合 | 11.5~13% | 6.5~8.5% | 9%くらい |
粉の特徴・感触 | 粒子が粗く、さらっとした感じ | きめ細かく、しっとりした感じ | 粒子は強力粉と薄力粉の間くらいの粗さ |
粘りや弾力性 | 強い | 弱い | 強力粉と中力粉の中間くらい |
向いている料理 | パン、ラーメン、パスタ、ピザの生地、餃子の皮など | クッキー、ケーキ、てんぷら、唐揚げなど | うどん、お好み焼き、たこ焼きなど |
こうして見てみると、名前がそのままという感じですね。
- 強力粉は、硬質な小麦を使っていて、粘りや弾力性が強い。
- 薄力粉は、軟質の小麦を使っていて、粘りや弾力性が弱い。
- 中力粉はその中間
ということです。
では次から、それぞれの小麦粉について詳しくお話ししましょう。
強力粉とは
まず、強力粉です。
強力粉は、主にアメリカやカナダが産地の『硬質小麦』が材料です。
強力粉には、タンパク質が11.5~13%くらいと、多く含まれていて、グルテンも多いです。
そのため、粘り気や弾力が強いのが特徴ですね。
強力粉の粉は、粒子が粗めで、さらっとした手触りです。
粉を握ってみると、固まりにならずに崩れてしまうくらい、さらっとしています。
強力粉は、主に
- パン
- ラーメン
- パスタ
などの材料として使われます。
逆に、ケーキやクッキーなど、
さっくりとしたものを作るには、強力粉は適しません。
作れないことはないのですが、みっちりとした重い感じのケーキになったり、歯ごたえたっぷりという感じのクッキーになってしまうかもしれません。
薄力粉とは
薄力粉は、
『軟質小麦』を原料
としていて、アメリカ産と日本産のものをブレンドしていることが多いです。
薄力粉のタンパク質の割合は、6.5~8.5%。
『薄力粉』『中力粉』『強力粉』の中で最も少なく、粘り気や弾力も一番弱い小麦粉です。
粉は、きめ細かくて、触るとしっとりした感じがします。
粉を手で握ると、固まりになるところも、強力粉と違う点です。
薄力粉が向いている料理は、
- クッキー
- ケーキ
- テンプラ
- ムニエル
- 唐揚げ
などです。
中力粉とは
中力粉はその名の通り、薄力粉と強力粉の間の性質を持つ小麦粉。
『うどん粉』も、この中力粉です。
タンパク質は9%くらいで、粘り気や弾力も薄力粉と強力粉の中間くらい。
ですから、
コシが強すぎず、かといってただ柔らかいだけでもなく
という、独特な食感になります。
原料も、中間質小麦と軟質小麦両方が使われています。
日本で出回っている中力粉は、ほとんどがオーストラリア産と日本産のブレンドです。
中力粉を普段使うことは、そんなに多くないかもしれませんね。
スーパーなどでも、薄力粉や強力粉ほどは扱われていません。
でも、お店で売ってなくても大丈夫。
中力粉は、薄力粉と強力粉を混ぜることでも作れます。
薄力粉と強力粉のタンパク質の割合を確認して、
混ぜた後の割合が9%くらい
になるように混ぜれば良いのです。
中力粉が使われるのは
- うどん
- お好み焼き
- たこ焼き
- 生パスタ
といったものです。
でもその他にも、中力粉向けのレシピで作れば、クッキーやケーキ、パンなども作ることができます。
ただ、パンは普通のパンより、みっしりと詰まった感じのパンになります。
薄力粉と強力粉の見分け方
ボウルなどに小麦粉を出してから
「あれ?これ、強力粉だっけ?薄力粉だっけ?」
と、わからなくなってしまうこともあるかもしれませんね。
そんな時は、小麦粉を握ってみてください。
- 手で握って固まるなら、薄力粉
- 手で握っても崩れるなら、強力粉
です。
また、薄力粉は粒子が細かく、強力粉は粗いです。
手触りでも判断できるでしょう。
その他の小麦粉の種類
小麦粉の種類は、主に強力粉、薄力粉、中力粉の3つ。
でもその他にも、いくつかあります。
簡単に紹介しましょう。
『準強力粉』
『準強力粉』というのは、強力粉と中力粉の間くらいの小麦粉です。
タンパク質の量は、10~12%くらい。
強力粉に比べると、ミネラルが多くタンパク質が少なめです。
伸びの良い生地が作れて、フランスパンや菓子パン、中華まんなどに向いています。
ちなみに、同じレシピを使って準強力粉と強力粉でパンを作った人によると、
『準強力粉はしっかり詰まった感じに、強力粉はふんわりした感じになる』
とのことです。
『全粒粉(ぜんりゅうふん)』
『全粒粉』というのは、小麦の粒を丸ごと挽いたものです。
普通の小麦粉は、胚芽やふすま(表皮)を取り除いて製粉しています。
でも、全粒粉は取り除かずにそのまま製粉しているのです。
ですから、食物繊維やミネラル、ビタミンなどの栄養が豊富です。
そして、香ばしい風味と、歯ごたえのある独特の食感という特徴があります。
全粒粉は、グルテンが少なめ。
パンだと普通の小麦粉よりももっちりとした食感は少なく、食べごたえがあるパンになります。
ただ、風味は香ばしいですが、全粒粉だけを使うと口当たりも良くありません。
そのため、普通の小麦粉と混ぜて使うことが多いです。
『デュラムセモリナ』
デュラムセモリナは、北米やヨーロッパ、オーストラリアで生産される『デュラム小麦』を粗挽きした小麦粉です。
デュラム小麦は、グルテンが多く含まれている硬質の小麦。
パスタやマカロニの材料としてよく使われています。
スーパーに売っているパスタにも、『デュラムセモリナ使用』などと書いてあることがありますね。
デュラム小麦は、身が黄色い小麦です。
ですから、デュラムセモリナも黄色の小麦粉になります。
パスタやマカロニが黄色いのは、そういうわけなのです。
小麦粉を間違って使っちゃった!どうする!?
小麦粉には種類があり、料理によって合う小麦粉の種類が違うことは、ここまででおわかりいただけたでしょう。
とはいえ、うっかり間違えちゃうことも、ありますよね。
薄力粉を使うはずが、強力粉を入れてしまったり、その逆をやってしまったり。
でも、それぞれの小麦粉の違いをわかって工夫すれば、新しいものができる可能性もあります。
他の材料を工夫するなどすれば、意外においしいものができたりするかもしれません。
ですから、間違ったと気が付いたからといって捨てたりせずに、トライしてみてください。
捨てるのも、もったいないですしね。
もちろん粉が違えば、仕上がりは思ったようなものと違うものになるでしょう。
たとえば、
中力粉や強力粉で作ったクッキー…
⇒ざっくりと噛み応えのある、固めのクッキーになる
強力粉で作ったケーキ…
⇒みっしり詰まった感じになる
薄力粉でパンを作る…
⇒パサッとした軽い感じのパンになる
というように。
そんな中から、
「うっかり粉を間違っちゃったけど、この食感は気に入った!」
というような発見も、あるかもしれませんよ!
小麦粉(強力粉/薄力粉/中力粉)の保存方法は?

小麦粉ってどう保存するのが良いの?
ここからは、小麦粉の保存方法についてお話ししましょう。
美味しい料理を作るためにも、正しい方法で保存することは、とても大切なことですよ。
なお、保存方法は、強力粉、薄力粉、中力粉、すべて共通です。
ベストの保存方法
小麦粉を保存するのに、最も良い方法は、
1回で使い切れる量に、小分けにしたうえで密封し、冷凍庫で保存する
という方法です。
まず、小麦粉の保存場所としてベストなのは、冷凍庫。
なぜかというと、長期保存でき、ダニやカビの発生も防げるからです。
常温だと、開封したら1~2か月で使い切らなければなりません。
しかし、冷凍なら半年くらい保存できます。
また、小麦粉は凍らないので、サラサラのままで保存でき、使う時もすぐ使えるのです。
でも、冷凍庫から小麦粉を袋ごと出して、そのまま出しっぱなしにすると、結露が出てしまいます。
となると、小麦粉に湿気が入ってしまいますよね。
そこで、結露を防ぐのにおすすめなのが、
1回で使い切れる量に小分けすること。
これなら、1回分を素早く取り出すことができます。
そして、『密封する』ということも大切です。
小麦粉は、他の食材の匂いが移ってしまいやすいので、匂い移りを防ぐためです。
冷蔵庫で保存する場合
小麦粉の保存場所として、冷凍庫の次におすすめなのが、冷蔵庫です。
少なくとも、
小麦粉の袋を開けてから、使い切るまでに1~2か月以上かかる場合は、冷蔵庫に保存
した方が良いです。
冷蔵庫内の湿度だと、ダニが活動しにくいからです。
ただし、冷蔵庫でも冷凍庫同様、
- 他の食材の匂いが移ってしまう
- 冷蔵庫から出した後出しっぱなしにすると、結露が生じて湿気が入ってしまう
という可能性があります
ですから、冷蔵庫で保存する場合も、
- 1回で使い切れる量に小分けをする
- 密封容器に入れてから冷蔵庫に入れる
というようにしてください。
ただし、冷蔵庫では、冷凍庫ほどの長期保存はできません。
開封後は、なるべく早めに使い切ってくださいね。
常温で保存する場合
小麦粉は常温で保存することもできます。
ただし、
- 開封したら1~2か月で使い切る
- 湿気や虫が入らないように、袋ごと密封容器に入れる
- 匂いの強い物の近くには置かない
というようにしてください。
もし1~2か月で使い切れるかわからない場合は、冷蔵庫や冷凍庫で保存するほうが良いです。
小麦粉を保存する時に大切なこと
小麦粉の保存で大切なのは
- 直射日光の当たらない、涼しい場所に保存する
- 湿気を防ぐ
- 匂いを防ぐ
- 虫が入らないようにする
ということです。
小麦粉に最も悪いのは、『湿気』。
湿気が入ると、品質が落ちてしまうだけでなく、カビの原因にもなりかねません。
ですから、シンクの下など、湿度の多いところに保存するのは避けましょう。
それから先ほども触れましたが、
小麦粉は匂いが移りやすいもの
でもあります。
匂いが移ると、小麦粉の味が落ちてしまいます。
- 匂いの強い物の近くに置かない
- 密封できる容器に袋ごと入れる
というようにしてください。
ちなみに、密封容器は、パッキングがある容器がベストです。
ジッパー付きの保存袋などは、おすすめではありません。
なぜかというと、
- ジッパー付きの保存袋でも、匂いが移ってしまうこともある
- ジッパーに小麦粉が付くと、それがダニなどの侵入経路になってしまうことがある
という理由からです。
タッパーなどの容器に、袋ごと入れるのが一番良いですよ。
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まとめ
強力粉、薄力粉、中力粉の違いは
- 原料となる小麦が違う
- 含まれるタンパク質の量が違う
- タンパク質に含まれるグルテンの量が違う
ということ。
そして、このような性質の違いから、小麦粉をこねた時の弾力や粘り気も違ってくるのです。
となれば、どんな料理に向いているかも、違ってきますよね。
薄力粉はクッキーや唐揚げなど、さっくりとしたもの向き。
強力粉は、パンやピザ生地など、しっかりとしたもの向きです。
そして中力粉は、うどんやお好み焼きなどに向いています。
小麦粉を保存する時は、
1度に使い切れる量に分けて密閉容器に入れる
ことが基本です。
ベストの保存場所は冷凍庫になりますが、冷蔵庫でも大丈夫です。
また、1~2か月で使い切れるなら、常温保存で構いません。
ただし、湿気のある場所や温度の高い場所、直射日光の当たる場所は避けてくださいね。