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捺印と押印と押捺の違いをわかりやすく解説!正しい使い分け方を紹介

日本では、宅急便の受け取りから、とても大事な契約まで、いろいろな場面で『印鑑』を使いますよね。

 

ところで、印鑑をお願いする時、

「印鑑を押してください。」

と言うこともありますが、

「捺印をお願いします」

「押印してください」

と言うこともありますよね。

そして、『拇印押捺』なんて言葉もあります。

 

同じ『押す』という意味なのに、3つも言葉があるんです。

では、一体どう違うのでしょう?

 

今回は、

『捺印』『押印』『押捺』の違いや使い分け方

について、お話しします。

 

フランクな場なら

「印鑑を下さい」

でも問題ありませんが、目上の人や取引先にお願いする時には、しっかり使い分けましょう。

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『捺印』『押印』『押捺』の違いとは?

『捺印』『押印』『押捺』の違いとは…

まず、

  • 捺印(なついん)
  • 押印(おういん)
  • 押捺(おうなつ)

の違いについて、お話ししましょう。

『捺印』『押印』『押捺』の意味の違い一覧

まず、この3つの言葉の違いを、確認するため表にしてみました。

意味元々の言葉備考
捺印印判(印鑑)を押すこと

押した印影のこと

『署名捺印』法律や役所などに関わる文書では『押印』が使われている
押印印判を押すこと『記名押印』『捺』の字が常用外となり『押』の字になった
押捺印判を押すこと

拇印を押すこと

『拇印押捺』『押捺』だけで使われることはほとんどない

 

このように、3つの言葉に共通しているのは

『印鑑を押す』

という意味を持っていることです。

でも、それぞれ少しずつ意味が違いますし、習慣で微妙に使い分けたりもしています。

『捺印』『押印』『押捺』って、それぞれどういうこと?

では、『捺印』『押印』『押捺』の意味の違いについてお話ししましょう。

 

『捺印』とは

『捺印』は、『署名捺印』の略です。

多くの場合は『印鑑を押す』という意味で使われますが、押した印影のことも指します。

 

『署名』と『記名』、『捺印』と『押印』はそれぞれ似たような意味ですよね。

でも、『記名捺印』とは言いません。

『署名捺印』を1つの言葉で覚えておいてください。

 

『押印』とは

『押印』は『記名押印』の略。

『押印』も『印鑑を押す』という意味であることは同じです。

 

ただ、『押印』は

後から使われるようになった言葉

なのです。

 

元々は『捺印』という言葉が使われていました。

でも、戦後に当用漢字が制定され、『捺』という字が常用漢字から外れ、『捺』に変わって『押』が使われるようになったのです。

そのため、

法令や法律、役所などに関わる文書では、『押印』

が使われています。

 

そして、『押印』も、『署名押印』とは言いません。

こちらは『記名押印』と覚えておいてください。

 

『押捺』とは

『押捺』も、本来は『印鑑を押す』という意味の言葉。

それに加えて、『拇印を押す』という意味もあります。

 

ですが、通常は『拇印を押す』意味で使われることがほとんどです。

『印鑑を押す』という意味で『押捺』は、ほぼ使われません。

また、拇印を押すことも、最近はあまりないですよね。

ですから、『押捺』は『押印』『捺印』に比べて、使われる機会は少ないです。

 

『捺印』と『押印』、結局何が違うの?

『押捺』は、ほぼ『拇印』に使われる言葉、ということはわかりましたね。

でも、

「『署名捺印』と『記名押印』って、結局何が違うの?」

と疑問に思うことでしょう。

 

この2つの違いは、

署名捺印

自筆で氏名を書いて、印鑑を押すこと

記名押印

名前を記し、印鑑を押すことだが、記名は代理人による代筆やパソコンなどの印刷、ゴム印などの方法でも良い

ということです。

『記名』は、本人の自筆でなくてもOKなのです。

でも、『署名』は、

本人の自筆

に限られます。

 

つまり、『署名』と『記名』で名前を記す時の手段が違うために、『署名捺印』と『記名押印』の意味が違ってくる、ということなのです。

証拠能力の違い

先ほど、『捺印』は『署名捺印』のことで、『押印』は『記名押印』とお話ししました。

この2つでは、証拠能力も違います。

 

証拠能力が高い順に

  1. 署名捺印
  2. 署名のみ
  3. 記名押印
  4. 記名のみ

となっています。

 

なぜこのような違いが出るのでしょうか?

 

まず、『署名』は本人の自筆なので、『確かに本人が書いたもの』という確実性があるのです。

そして、それをさらに補完するために『捺印』がされます。

ですから、『署名捺印』が最も証拠能力が高く、次が『署名のみ』となります。

 

一方、記名は、ゴム印や印刷でも可能ですし、代筆もOKです。

また印鑑も、その気になれば、

別人がどこかで手に入れて押してしまうこと

もできますよね。

となれば、

『本人が確認して了承した上での記名押印である』

という確実性は、署名捺印に比べて弱くなります。

そのため、

印鑑が押してあっても、記名押印より署名のみが強くなる

のです。

ちなみに『調印』とは?

『印鑑を押す』という意味の言葉にはもう1つ、『調印』という言葉がありますよね。

 

この『調印』と言う言葉は、

『協定や条約などの公的な文書で重要な取り決めなどを交わす時に、代表者が署名捺印すること』

という意味です。

つまり、組織などに限って使われる言葉なのです。

  • 個人的な文書
  • 企業や組織などの、通常の取引や契約

という場面では『調印』とは言わないのです。

重要な協定や条約などを締結する時だけ、『調印』という言葉を使います。

 

『捺印』『押印』『押捺』の使い分け方

こういう時は『捺印』?『押捺』?

『捺印』『押印』『押捺』は、少しずつ意味が違いますから、使い方も違います。

ここからは、使い分け方について見ていきましょう。

一般的な使い分け方

『捺印』『押印』『押捺』は一般的に

捺印

本人が自筆で署名したものに印鑑を押す時に使う

押印

ゴム印や代筆、印刷などでの記名も可という文書で印鑑を押す時に使う

押捺

拇印を押す時に使う

と使い分けます。

 

ですから、相手にお願いする時も

自筆での署名と印鑑が必要な時

⇒「ご署名とご捺印をお願いします。」

印刷やゴム印などでの記名でも良くて、そこに印鑑が必要な時

「ご記名とご押印をお願いいたします。」

と伝えましょう。

 

拇印は、取引などではあまり使わないですよね。

『ご拇印』『ご押捺』という言い方も耳にしないでしょう。

目上の人に、拇印をお願いすることもないとは思いますが、もしあった場合は、不自然でない敬語で伝えれば大丈夫ですよ。

社印を使う場合の使い分け方

『捺印』『押印』という言葉は、会社としての業務で作る書類や会社同士の取引などでも、使い分けがあります。

捺印

⇒会社同士の重要な取引、社運がかかるような重要な契約をする時などで、『署名捺印』をする

押印

⇒通常の業務の書類などで、どの社員が押しても良い場合に使う

 

社印の場合は、使う印鑑も違っていて、捺印の時は丸印を使い、押印の時には角印を使います。

そして協定など、非常に重要な契約の時には、『調印』と言うこともあります。

 

印鑑の押し方について

はんこの上手な押し方とは…

せっかくですから、印鑑を押す時のコツもお伝えしましょう。

さりげなく、きっちりと印鑑が押せると、気持ちいいですし、ちょっとカッコいいですよ。

印鑑・拇印を押すコツ

まず、印鑑や拇印を押す時のコツです。

 

印鑑をきれいに押すには

印鑑を押す時には、以下のようにすることが、オススメです。

  1. 印を押す紙の下に押印マット(もしくはそれに代わる物)を敷く
  2. 朱肉を印鑑全体にまんべんなく付ける(付け過ぎないように注意)
  3. 使わない紙に2~3回試し押しをする
  4. 綺麗に押せたら、同じ要領で書類に押す
  5. 印鑑を紙に押したら、すぐに離さず、『の』の字を書くような感じで印鑑に力を加える(印がずれないように注意)

 

印鑑を押した後、印を押したところに物が触ったりすると、汚れが付いたり、印がこすれて汚くなってしまうことがありますよね。

それを防ぐには、

要らない紙で軽く抑えたり、付箋紙を貼ったりする

と良いです。

 

なお、ずれたりかすれてしまったりした時は、

印影の上に二重線を引いて、その横にもう一度押してください。

上から重ねて押すと、さらにずれてしまうので、重ね押しはやめましょう。

 

宅急便の受け取り程度なら、『朱肉を付けて押す』だけでも良いでしょう。

でも、大事な書類や大切な相手に渡す書類なら、やはりきれいに押したいものですね。

 

拇印押捺の場合

拇印押捺の時は、

  1. 指の腹に朱肉を付ける
  2. 拇印を押す所に指紋がはっきり残るように押す

という手順です。

 

拇印押捺の時に使う指は、『この指でないとダメ』という決まりはありません。

ただ、

右手の親指を使う

ということが、一般的です。

 

また、拇印押捺の時は、

指紋がきれいに残ること

が大切です。

ですから、拇印の押捺の時も、朱肉を付け過ぎないように気を付けてください。

印鑑を押す場所は?

印鑑を押す場所は

『印』と書いたしるしがある場合

⇒その上に押す

『印』のしるしがない場合

⇒署名や記名の文字に少しかかるように押す

という押し方が一般的です。

印鑑を押す場所

印鑑を押す場所

このように、名前の文字にかかるように押す時は、

『名前の最後の1文字の、半分~半分弱くらいに重なるように押す』

というのが目安です。

 

なぜ文字にかかるように押すかというと、印影の不正使用を防ぐためです。

まっさらな所に印鑑を押すと、コピーして使うこともできてしまいますからね。

ただし、文字に重ねる場合は、あくまでも

『少しかかる』という程度

にしましょう。

名前の文字とバッチリかぶったりしていると、文書自体の有効性に影響してしまう可能性もあります。

どんな印鑑を使う?

印鑑と言っても、100円ショップで買えるものやシャチハタから、数万円もする高価な印鑑まで、いろいろですよね。

どんな時にどんな印鑑を押すか、ということも簡単にお話ししておきましょう。

 

『シャチハタ』はどんな時に使うか

『シャチハタ』は、本来はんこメーカーの名前です。

でも一般的には、

『インク浸透印』(インクが自動的ににじみ出て来るタイプの印鑑)

を指します。

 

この『シャチハタ』を使えるのは、宅急便や書留などの受け取りの時くらい

と思っておいたほうが無難です。

 

なぜかというと、シャチハタは

  • インクがにじみやすく、時間の経過で薄れてしまう可能性がある
  • 字面がゴムでできているため、押し方や力加減、温度によって印影に微妙にズレが出ることがあり、印影が安定しない

ということから、契約書などの押印、捺印には向いていないのです。

シャチハタは認印(実印以外の印鑑のこと)としては認められていません。

もちろん実印としても使えません。

 

『実印』を使う場面

実印を使うのは、とても重要な契約をする時です。

たとえば

  • 不動産取引
  • 生命保険や自動車保険などへの加入
  • 銀行から融資を受ける時の契約

といったこと。

 

『実印』は、自分が住民登録をしている市区町村の役所などに、『印鑑登録』してある印鑑のこと。

『この人の印鑑である』と公的に認められた印鑑

なので、『本人が押した』という証拠としての効力も法的な拘束力も、強くなります。

ですから、重要な書類にしか使わないのです。

 

もちろん、実印も印鑑ですから、実印を宅急便の受け取りなどに使っても、違法ではありません。

でも、万が一の悪用などを避けるためには、おいそれと実印を使わないほうが良いです。

 

ちなみに、どんなに高価な印鑑でも、印鑑登録をしなければ『実印』にはなりません。

逆に、100円くらいの印鑑でも、規定を満たしていて印鑑登録をすれば、『実印』にできます。

ただ、実印の意味を考えると、やはりしっかりとした丈夫な印鑑を登録するほうが良いでしょう。

社内文書の場合

社内文書も、印鑑の押し方や押す場所は、先ほどと同じです。

ここでは、個人の書類と違うところについて、ざっとお話ししましょう。

 

押印欄の順序

これは印鑑の押し方そのものというより、印鑑を押す欄の話です。

 

社内の文書の中には、複数の責任者が確認して印鑑を押すことが必要なものもあります。

そういう書類には、複数の押印欄が並んでいますよね。

 

この押印欄の並び順も決まっていて、右から

  1. 最初の書類作成者(企画者など)の押印欄
  2. その上司
  3. さらにその上司

というようになっています。

つまり、

『役職が高くなるほど左』

ということです。

押印欄を作る時は、順番に注意してくださいね。

 

『印鑑を傾けて押すのがマナー』って本当?

しばらく前にネット上で、

『印鑑を左に少し傾けて押すのがマナー』

という話が話題になったことがありました。

これは、

『上司(つまり、自分より左に判を押す人)への敬意を表すために、お辞儀をするように傾けて押す』

ということなのだそうです。

 

でも、

『これは一部の企業内だけでのローカルマナーのようなもの』

という見方が強いです。

ですから、

通常は、印鑑はまっすぐ押すほうが良いです。

企業内の文書などで、気がかりな時は、上司や先輩に聞いておくと良いでしょう。

 

それにしても、『印鑑でまでお辞儀』なんて、なんだかちょっと不思議ですよね。

『印鑑で上司に寄りかかってる』と思う人はいなかったのかな…なんて筆者は思ってしまいます。

印鑑を押す時に一番大事なこと

印鑑を押す時に一番大事なこと、それは

契約の内容などをよく確認し、納得してから押す

ということです。

印鑑を押したら

「内容を確認し了承したので、この契約を結びました」

ということになるからです。

 

契約書やサービスの利用規約などって、読むのが面倒ですよね。

でも、読まずに印鑑を押してしまって、後から不利なことや不本意な契約内容が見つかっても、

「納得したから印鑑を押したんですよね?」

ということになってしまいます。

ですから、

印鑑を押す前に必ず契約書などをよく確認し、わからないことや納得のいかないことは確認

してくださいね。

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まとめ

『捺印』『押印』『押捺』は、

どれも『印鑑を押す』

という意味の言葉。

でも、それぞれに少しずつ意味や使い方が違います。

捺印

『署名捺印』の略です。

本人が自筆で名前を書き、印鑑を押します。

押印

『記名押印』の略です。

名前を記して、印鑑を押します。

印刷やゴム印、代筆などもOK。

押捺

『拇印押捺』のことです。

拇印を押す時に使います。

というように使われています。

 

ですから、印鑑をお願いする時にも、

直筆での署名が必要な時

⇒「ご署名とご捺印をお願いいたします」

ゴム印や代筆などでも良い場合

⇒「ご記名とご押印をお願いいたします」

と使い分けましょう。

細かいことではありますが、こういうところでしっかり使い分けができると、ちょっとカッコいいですよ。

 

いずれにせよ、『印鑑を押す』ということは、それなりに重みのあることです。

特に、何か契約をする時は、内容をしっかり確認し、納得してから押しましょう。

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